気候変動

水蒸気、二酸化炭素、メタン及び亜酸化窒素など、熱エネルギーを吸収する性質をもつ温室効果ガスは、 太陽照射により暖められた地表から放射される赤外線を吸収し、熱エネルギーとして大気圏内に蓄積する働きを もっています。蓄積された熱エネルギーによって地球は生命活動が維持できる温度(15℃)に保たれています。 もし地球上に温室効果ガスがなかったら、地球の温度はマイナス18℃まで下がってしまいます。

しかしながら、産業革命以降の経済発展と人口増加に伴い、温室効果ガスの濃度は上昇し続けており、 過去約100年間で全地球の平均地上気温が0.3~0.6℃上昇しました。2100年には今より約2℃平均気温が上昇すると いわれています。気温の上昇は地球レベルの気候変動をもたらし、海面上昇、降雨パターンの変化、洪水、砂漠化、 生態系への影響、農業や漁業への影響、感染病の蔓延などを引き起こします。

世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって設立されたIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)の報告書(1990年発行)は地球温暖化の脅威について訴えました。 これを受けて1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された地球サミットでは、気候変動に対する国際的な 取り組みの必要性が認識され、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを目的とした気候変動に関する 国際連合枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change: UNFCCC)が策定され、1994年に 発効されました。


京都議定書

1997年に京都で開催された第3回目の会議では、具体的な削減量の数値目標を定めた京都議定書が採択されました。 議定書では、2008~2012年の5年間で先進国における温室効果ガスの排出量を1990年レベルから最低5%削減することを 定めています。京都議定書は150ヶ国以上の批准により、2005年2月16日に正式に発効されました。

京都議定書で削減対象とされているGHGガスは、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、 ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)の6種類です。地球温暖化に与えるガスの影響は それぞれ異なります。例えばメタンの温室効果はCO2の21倍となっていますので、メタンを1トン削減することはCO2を 21トン削減したことと同じ効果があるのです。

しかし、多くの先進国がこれらの数値目標を国内のみで達成することは、技術的及び経済的にも困難だといわれて います。例えば日本などはすでにエネルギー使用効率がかなり高い上、2004年には1990年と比較してGHG排出量が8% 増加しているため、実質14%の削減が必要になります。そこで京都議定書は、国や企業が、与えられた温室効果ガスの 排出削減目標を自力では達成できない場合の柔軟措置として、市場原理を利用した京都メカニズムを設けました。 京都メカニズムは、GHGの削減を他国で実施したり、排出削減量を他国と売買したりすることを認めています。

京都メカニズムは以下の3つの部分から成っています。


クリーン開発メカニズム(CDM)

CDMは、京都議定書の参加国である先進国がGHG削減活動を途上国で実施することを 認めています。先進国が技術や資金を供与し、削減量は認証排出削減量(Certified Emission Reduction: CER) として発行され、自国の排出削減目標達成のためのクレジットとするだけでなく、他国と売買すること (排出権取引)も可能です。

例えば、日本の企業が中国で風力発電プロジェクトを実施したことによってCERを得た場合、その クレジットはその日本企業のものとなります。この企業はクレジットを日本政府または他国に売却する ことができます。


共同実施(JI)

JIはCDMと同様の仕組みですが、プロジェクト活動を京都議定書の参加国である先進国同士が共同で 実施します。また削減量は排出削減単位(Emission Reduction Unit: ERU)として発行されます。


排出権取引

先進国は2008年~2012年までの5年間(第一約束期間)に1990年の排出量から目標値分を削減したGHG量を排出する 権利が与えられます。排出権取引は排出量ではなく排出する権利を売買することを意味します。国内の取り組みでGHG量を 排出枠内に削減しきれなかった場合、 GHGガス量を排出枠以下に削減した国や事業者からCERやERUを購入して、 自国の排出削減目標の達成に使用することができます。排出権取引には議定書の参加国である先進国のみが参加することが 可能です。